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研究内容
                             太陽電池の背景

 原子力発電所の事故、化石燃料の枯渇、地球温暖化などさまざまな問題を背景に、次世代エネルギー資源に強い関心がもたれている。中でもクリーンで無尽蔵に利用できる太陽光を用いた太陽電池は次世代のエネルギー資源として大いに期待されている。太陽電池といっても種類は多様にあり、いくつかの種類に分類される(下図1に示す)。
もっとも有名なのはシリコンを用いた太陽電池で、現在実用化されている太陽電池はほぼこのシリコン単結晶による太陽電池である。しかし、シリコン系太陽電池は製造プロセスが複雑であるため、発電コストが高く、コストあたりの変換効率はあまり高いといえない。


図1. 太陽電池の分類
 
 
現状、Siのバルク結晶を用いた単一発電層太陽電池では、ショックレー・クエイサー限界によって理論発電効率は32.7%までにしか至らない。このショックレー・クエイサー限界は、バンドギャップよりも低いエネルギーを持つ光を透過してしまう『透過損失』と、入射光の持つ半導体材料のバンドギャップ以上のエネルギーが熱として失われてしまう『熱損失』によって決定される。太陽光スペクトル分布との関係から限界となる理論発電効率が決まってしまう。シリコン単結晶を用いた単一発電層太陽電池は、最高発電効率が25%であり理論的限界値に近づきつつある。そこで現在私たちの研究室では、さらなる発電効率向上の指針を与えることを目指し、量子ドットを用いた次世代太陽電池の基礎研究を行っている。
 
 量子ドット太陽電池の種類

量子ドット太陽電池には幾つか種類があり、量子サイズ効果を活用するタンデム型、中間バンドを活用する中間バンド型、キャリアのエネルギー緩和時間の増大を活用するMEG型・ホットキャリア型である。タンデム型と中間バンド型においては、幅広いスペクトルの光を吸収することが可能である。一方、MEG型やホットキャリア型では、エネルギーギャップよりも高いエネルギーの光の無駄のない活用が可能となっている。タンデム型では、各層の量子ドットの粒径を均一にしなければならず、高度な加工技術が必要とされ、作製には高いハードルがある。中間バンド型でも同様に、量子ドットを高密度・高均一で三次元的に周期配列させなければならず、作製が技術的に難しいという課題がある。そこで現在、高度な加工技術を要さず、高いエネルギーを持つ光を電流に変換できる可能性を持つMEG型量子ドット太陽電池が注目を浴びている。




図2. 量子ドット太陽電池の種類
 

MEG型太陽電池は提唱されてしばらく経つが,現在コロイド量子ドットを用いた固体型太陽電池の光電変換効率は最高9.9%[1]で、未だ理論効率からは程遠い光電変換効率となっている。主な原因としては、量子ドット太陽電池内における光電変換のメカニズムが十分に解明されていないことが挙げられる。そのため、当研究室では半導体量子ドットを異なる配位子で表面修飾したり,異なる粒径で作製したりして、励起子の電荷分離,電荷輸送やキャリア再結合等のキャリアダイナミクスの比較を行い、基礎的な物理現象の研究を行っている。

 [1] http://www.nrel.gov/ncpv/images/efficiency_chart.jpg
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